
「劇とオペレッタって、どう違うのかな?」
保育の現場や発表会の準備をしていると、そんな疑問を耳にすることがあります。
実はこのふたつ、似ているようで大きな違いがあるのです。そして、その違いを知っておくことは、子どもたちの「表現する力」を引き出すうえでとても大切なポイントになります。
今回は、初めて取り組む方にも分かりやすく、「オペレッタ」と「劇(劇あそび)」の違いと、それぞれで育まれる力についてご紹介します。

オペレッタと劇には、それぞれの良さがある!
結論からお伝えすると、オペレッタは音楽を中心に物語が展開する「歌う劇」、劇は「言語劇」とも言われるようにセリフで物語が進行します。更に子ども自身がストーリーやセリフや演出を考えることもできる、自由な物語表現です。
どちらも子どもたちの「表現する力」「想像する力」を育てる、大切な活動です。
オペレッタは「音楽」が導いてくれる
オペレッタは、歌や踊り、セリフがひとつになった、『ミュージカル』のようなものです。
たとえば、乳幼児教育研究所(乳・幼・研)のオペレッタ教材では、CDの音楽に合わせてストーリーが進みます。特徴的なのは、同じメロディーを繰り返し使う構成になっていること。これにより、小さな子どもでも歌をすぐに覚えて、安心して参加できるのです。
歌があるから、セリフが覚えられなくても大丈夫。音楽が、子どもたちを自然と「表現の世界」に導いてくれるのです。
さらに、動きや表情も曲に合わせて展開されるため、子どもはリズムに乗って体を動かしながら“なりきる”楽しさを味わえます。
=リズム感、記憶力、集団での一体感、自己表現の土台が育まれます。
劇は「自由な発想」が広がる
園で行う「劇(劇あそび)」は、主に題材を
①日本・世界の名作話からとる
②絵本の物語を劇の台本に直す
③市販の『劇あそび台本集』を参考にする
④子どもたちが園生活の出来事などをモチーフにして、オリジナルの台本を作る
といったやり方があります。
①②③の場合は指導者がセリフを決めて、子ども達はその通りに覚えることになりがちです。
大筋は押さえつつも、「オオカミは何て言ったのかな?」と問いかけ、子どもたちの答えを生かした台本を作りましょう。
④の場合は、子どもたちの考えだけでは長くなりすぎたり、ストーリーが分からなくなったりします。そんなときは
「この場面は、みんなで声をあわせてセリフを言ってみよう!」など、指導者がフォローすると良いでしょう。
いずれのやり方でも、自分の言葉で相手に伝える力が求められます。子どもたちの自主性を大切にして劇を通し、発想力・表現力・協調性を育てましょう。
年齢や目的で使い分けよう
それでは、どちらをどんな場面で取り入れればよいのでしょうか?
オペレッタ | 劇(劇あそび) | |
---|---|---|
中心となる要素 | 歌・音楽 | セリフ・自由な発想 |
音楽の使い方 | CDまたはピアノで物語の最初から最後まで展開する | 効果音やBGMとして部分的に使用 |
子どもの関わり方 | 曲に合わせて演じる | セリフや演出に子どもの考えを加えることができる |
年齢の目安 | 音楽に反応しやすい2〜3歳児から取り組める | 言語力が育ってきている4〜5歳児におすすめ |
たとえば、2〜3歳児には繰り返しの歌が安心感を与える「オペレッタ」がおすすめ。
自分の思いや考えを言葉で表現できるようになってきた4〜5歳児には「劇あそび」の中に歌を取り入れると、さらに表現の幅が広がります。
乳・幼・研のオペレッタ教材は、脚本・楽譜・CD(唄入りとメロディ入りカラオケの2つのパターン)がすべてセットになっており、衣装や小道具の作り方も丁寧に解説されています。そのまま「劇」としてのアレンジも可能なので、子どもの発達や興味に合わせて使い分けることができます。
どちらも「表現する喜び」が育つ、素敵な保育活動です
オペレッタも劇も、どちらも「子どもが主役になれる」活動です。
音楽で導かれる表現、自由な発想で作る物語……どちらも子どもたちにとって、かけがえのない経験になります。
大切なのは、「どちらかだけ」ではなく、「どちらも」経験させてあげること。
子どもたちの「やってみたい!」という気持ちを大切にしながら、表現する力を伸ばす場面をたくさん用意していきましょう。
まとめ
「オペレッタって難しそう…」
「劇なんて台本を作るのが大変…」
そんな不安は必要ありません。
まずは1つ、乳・幼・研のオペレッタ教材を手に取ってみてください。
分かりやすい構成と音楽、そして子どもたちの心に届くストーリーで、表現活動の第一歩をサポートしてくれます。
小さな一歩からでも、子どもたちの表現の世界はどんどん広がっていきますよ。
今日からできる、子どもと一緒の『表現あそび』の時間。ぜひ始めてみませんか?